よぎちょぎ扶餘
恋人達の「宮南池」
扶餘は百済王国の最後の都があった土地で、町全体が野外博物館のようなところ。日本の明日香や太宰府とは姉妹関係にある…というと 何だか修学旅行的な旅になりそうだが、 実は私、この扶餘(プヨ)という田舎町が大好きで10年以上通っているのだ。パッと観光して全州(→ 全州へ行こうよ)に向かってしまうこともあるので いつも宿泊するとはかぎらないんだけど、 今回は時間に余裕があるので久々にゆっくりしてみようか。
ソウルからバスが直行しているのは南部ターミナルだけ(→ 交通情報を見る)。たいていは論山で乗換になってしまうのが時間のロスに感じられるのだが、最近開通した道路がなかなか快適だというので論山からタクシーをつかっちゃおう。 円高のおかげで1360円。
ゆったりと流れる白馬江の堤防にはきれいな道路ができて 地元の人々がジョギングに励んでいた。 対岸の山や橋もライトアップされてなんとも美しい。しばらく来ないうちに町はどんどん進化し、きれいになっているんだなぁ。
街をひとめぐりして最後は王様の別邸があったと言われる、 町外れの「宮南池(クンナムチ)」という韓国最古の人工池へ。ちょうど蓮の花のシーズンでカメラを持った人が大勢きている。ここの蓮はうまく調整することで、いっせいに開かずに徐々に長い期間楽しめるように工夫しているそうだから、7月いっぱいは見られそう。10年前にはじめて来た時には藪草が生い茂って荒涼としていたものだけど 今はすっかり整備され、「薯童(ソドン)公園」という名前になっていた。
薯童というのは百済第30代の王、武王(ぶおう)の幼名。子どもの頃は芋を売って生活を支えていたが、 三国一の美人と言われた新羅第26代王の三女である善花(ソンファ)姫を手に入れるため、 新羅王を怒らせる内容の童謡を作って子どもたちに歌わせる。
薯童の計画はうまくいき、怒り狂った父王に追い出された善花姫は薯童のヨメになって恋は成就する…という、ある意味ひどいラブストーリーだ。この時の童謡が「薯童謡(ソドンヨ)」なわけだが、 テレビドラマにもなったので韓流ファンの方には有名な話だね。
宮南池の中央には小島があって小さな楼閣があり、恋人と一緒に岸から小島への橋を渡ると恋が叶うといわれている。
(2011年10月1日掲載)