百済の面影・扶餘の旅

扶餘を楽しむ 見どころ

定林寺址(チョンニムサジ):정림사지

定林寺は扶餘に都があった当時の中心的な大寺院であった。

5年間にわたる発掘調査の結果、蓮池・中円・金堂・講堂・回廊などの大規模な伽藍の配置が確認された。現在は境内に五層石塔(国宝第10号)と高麗時代に作られた石仏坐像(宝物第108号)のみが残っている。

発掘により三尊仏立像や塑像仏、百済と高麗時代の装飾瓦をはじめ、硯、土器などが発見されており、これらの出土遺物はとなりの定林寺址博物館で見ることが出来る。

  • <利用情報>
  • 開館時間夏季(3月~10月)9:00~18:00/冬季(11月~2月)10:00~17:00
  • 入館料定林寺址: 大人1,000ウォン 青少年600ウォン 子供400ウォン
  • 定林寺址博物館: 大人1,500ウォン 青少年900ウォン 小人700ウォン
  • 休館日(定林寺址博物館)毎週月曜日
  • 行き方扶余市外バスターミナルから徒歩15分

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※定林寺址(チョンニムサジ):정림사지の見どころ※

定林寺址石仏坐像:정림사지석불좌상
今は拝殿の中に安置されているが長い歳月の中でかなり風化が進んでいる。蒙古型の帽子をかぶり膝のあたりに丸い石をおいたユーモラスな姿と微笑みが印象的だ。 この仏像は高麗時代に定林寺を改築した際に、新しく造られたもので、坐台の上部分には蓮の花が、下には蓮の花の模様が刻まれている。狭い肩と腕に当てた両手の表現から真理を司る毘慮舎那仏と推定されている。
定林寺址博物館:정림사지박물관
定林寺址の東側にあるこの博物館は仏教文化館、定林寺址館、および企画展示館からなり、百済の仏教文化と定林寺の歴史を紹介するために2006年9月にオープンした。定林寺址館ではジオラマを使って、石塔を組み立てたり、屋根瓦を焼いて屋根に葺くなどの作業現場を忠実に復元しているほか、定林寺の復元模型も展示していて見応えがある。
現在、定林寺址は遺跡が地下に眠ってはいるものの五重石塔と石仏以外に見るものがない。 だがこうした展示を見ていくことで遙か遠い時代の人々の苦労と、創建時の寺院の偉容を知ることが出来て興味深い。→ 定林寺址ウェブサイト
定林寺址五層石塔:정림사지오층석탑(指​​定番号:国宝第9号)
定林寺址境内には五重石塔が1400余年の月日を越え、素朴な美しさを保っている。 塔の高さは8.33mで、狭くて低い 1段の基壇の上に 5階の塔身を立てた姿である。薄くつくられた屋根が軽い反りを持つ。木造建物の形式を充実に履行しながら格調高く洗練された造形美を見せている。 全体としては初層を大きめにつくり、そのプロポーションは法隆寺五重塔と似ているともいわれる。このような塔の形態は百済式と呼ばれ、この後、統一新羅時代になっても百済の故地にはこのような形の塔が造られていたようだ。
塔身には「大唐平百済国…」で始まる刻銘がある。西暦660年、唐・新羅連合軍は泗沘城の王宮や寺院を徹底的に破壊し尽くした。このとき、唐の大将、蘇定方(ソ・ジョンバン)が戦勝を記念して彫り付けたもので、皮肉なことに、そのために塔は破壊されずに後世に残ったとされている。
銘文の意味は‘百済を平定した記念塔’という意味で、そのために「平百済塔」と呼ばれていたが、文化遺産として国宝に指定されたのを機に現在の「定林寺五重石塔」という名前に変えられた。

(2011年10月1日掲載)

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